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2023/08/01

Web記事の会社が、家具メーカーになった日 ― ゲーミングチェア「AIM chair」誕生の記録

2023年3月。設立から1か月のクロスイメージに、一本の相談が入りました。

依頼主は株式会社WILBY様。「ほしいが見つかるモノメディア」SAKIDORIを運営し、生活雑貨から家電、インテリアまで幅広い商品を紹介してきた会社です。
つまり、モノを薦めることのプロでした。しかし、自分たちでモノを作った経験も、売った経験もありませんでした。

そして同年8月、ゲーミングチェア「AIM chair」は発売されました。

ヒートマップが示していた、本当のニーズ

SAKIDORIではゲーミングチェアの記事が多く読まれていました。その読者行動をヒートマップで分析したところ、予想と違う事実が見えてきました。

読者がクリックしていたのは、レーシングシート型のゲーミングチェアではありませんでした。ハーマンミラーのような、シンプルでスタイリッシュな椅子だったのです。

ところが、そのクリック先は20万円を超えます。カートには入りません。
欲しいものははっきりしている。でも買えない。 その層が、データとして可視化されていました。

紹介するだけでは、この人たちの手には届かない。ならば作るしかない。それが出発点でした。

なぜ、既存のゲーミングチェアでは合わなかったのか

FPSのような競技性の高いゲームは、前傾姿勢でプレイします。

一方、当時主流だったゲーミングチェアは、レーシングゲーム向けの設計でした。深く倒して身体を預ける姿勢が前提です。プレイスタイルと椅子が噛み合っていませんでした。

さらにコロナ禍以降、テレワークが定着します。ゲーム専用の派手な椅子が、部屋の中で浮くようになりました。

仕事にも使える、シンプルでスタイリッシュな椅子を。それも5万円以下で。
これが、WILBY様から直接いただいたコンセプトでした。

商品を作ることと、メーカーになることは違う

コンセプトは明確でした。しかしWILBY様には、製造も販売も経験がありません。
そこで私たちは、商品開発と並行して、メーカーとして必要な実務をすべてお伝えしました。

在庫をどこに、どれだけ持つか。送料と梱包サイズの関係。不良が出たときの対応体制。表示と取扱説明書。検品基準の作り方。

図面を引くことよりも、こちらのほうが時間を要しました。商品を作ることと、メーカーになることは、まったく別の作業です。

コンテナに、1台でも多く

5万円以下という価格の実現に最も効いたのは、梱包設計でした。

コンテナに何台積めるかで、1台あたりの輸送コストは大きく変わります。私たちは、コンテナに1台でも多く載るように、梱包サイズから逆算して設計を詰めました。

安くするために仕様を削るのではなく、運び方から設計する。 価格を守りながらデザインを守るには、この順番しかありませんでした。

三次曲面に、ロゴをまっすぐ乗せる

工場は10社以上を検討し、最終的に1社に絞りました。

最後まで苦戦したのが、ロゴ印刷です。印刷面が三次曲面のため、量産するとどうしてもロゴが斜めになりました。

位置をずらせば解決します。しかしそれは、デザインの妥協です。
私たちは位置を変えず、印刷工程そのものを徹底的に見直しました。 何度も失敗を重ね、量産で安定してまっすぐ乗る条件を見つけ出しました。

細部に思えるかもしれませんが、スタイリッシュであることがこの商品の価値です。そこを崩したら、企画そのものが成立しませんでした。

結果

2023年8月、AIM chairは発売されました。コンセプトが時代に合い、ヒット商品となりました。

相談から発売まで、およそ5か月。製造経験のない会社が、メーカーとして立ち上がるまでの期間です。

商品を紹介し続けてきた会社だからこそ、市場に何が足りないかが見えていました。私たちはそれを、形にする役割を担いました。

コンセプトが固まっているなら、商品化はできます。私たちは、その先の実務までご一緒します。


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